バレンタインデーのほっとするお話
その資格も活用して、外資の企業に転職し、イギリスで暮らしたいと言うのだ。
会社の金で大学院に行かせて貰い、MBAを取得したとたんに転職するようなドライな真似は、私たちが若い頃はとても出来なかったが、現代の若者は平気らしい。
ところで、私はこの種の転職の相談にはなるべく応じないようにしている。
理由のひとつは、そのような志願者に会って話をすると、必ずと言っていいくらい不愉快な思いをするからである。
ひとりの知人から電話があった。
「ある日本企業の駐在員が、もうすぐ帰任になるのだが、会社を辞めてイギリスに残留することを希望している。ついては相談に乗ってやってくれないか」と言う。
「私のこれまでのキャリアで、外資の企業ならどのくらいの年俸が貰えるでしょうか?二千万円でしょうか?三千万円でしょうか?」と重ねて聞くのである。
そこで、私は必ずこう答える。
「あなたが優秀な営業成績をあげれば、一億円だって貰えますよ。でも、企業の期待通りに稼げなければ、三ヶ月でクビです」「一年とか二年とかの最低保証期間はないのでしょうか?」「あなたがとても優秀で、そのことが業界でも知れ渡っていて、どこかの外資の企業があなたを欲しがっているのだったら、交渉次第でそうした保証を貰えるかも知れませんがね。でも、あなたの方から、雇ってくださいと言いに行くのだったら、半年の保証でも無理でしょう。逆に、たいていの企業は、最初の三ヶ月は試用期間と規定しており、その間の成績が悪ければ、正社員になることなく、解一展されることもあります」私はあくまで冷たく突き放すのである。
こういう質問をする人は、「ナニモワカッチャイナイ」のである。
「どういうキャリアですか?」と、私がとぼけて聞き返すと、出身学校名(有名大学だ)から始まって、会社での昇格の来歴、駐在員としての経験、持っている資格名などを延々と羅列する。
このキャリアとこの年齢なら、どういう役職につけ、どの程度の給料とボーナスが貰えるので移ろうなどと思わない方がいい。
外資の企業(といっても私は金融界しか知らないが)は、つくづく「狩猟民族」の世界だと思う。
それは、ここという勝負どころで集中力を発揮して、成果をあげることが出来る者しか生き残れない世界である。
広く浅い知識しかないゼネラリストは全く役に立たない。
何かの分野のスペシャリストであることが求められる。
また、外資では、日本の企業のような、家庭的で、集団として和を尊ぶような雰囲気は期待しない方がよい。
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